第3章

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熱血体育教師、柿谷は予鈴後に行われた悪戯にしか過ぎない放送に憤りを感じる。 ふと窓の外に生徒がいたので注意を促す。 「おい!予鈴がなったぞ!急げ!」 声をあげれば生徒が顔をあげる。 見覚えのない顔。 覚えようとしても検証しようとしても全く記憶に引っ掛からない。 「おい!」 ただ、その瞳に寒気のようなものが走るが生徒なのだからと頭を降れば校舎の中へと消えていく。 後で見つけたら説教だと考え、放送室へ向かう。 放送室は通路の奥だ。 急げば間に合う。 間に合わせ、説教だ。 昨今の生徒たちはたるんでいる。 勉強はできても目上は敬わない。 教師には暴力だとレッテルを晴れる。 行きすぎた教育はおかしいと叩かれる。 だが、そんなときこそ、親のように愛情をもって、叱ってやらなければならない。 うんうんと自分の教師としての使命をあらためて思い直し満足する。 そして放送室のドアを乱暴に開く。 「おい!いるのか!」 叫び声にだが、なんの反応もない。 さすがに逃げられたかと考える。 振り返り、今からこの辺り一体を探せばと考える。 だがそこにそれがいた。 そして声をかける前に白い肌を向けてしがみついてくる。 「ぎ、ぎゃあああああああああああああ!」 命の最後に散らす声。 恐怖と、絶望、激痛の混じった声。 教師の使命など忘れ、生へと無様にしがみつく。 だがそんな抵抗は虚しく、それは唐突に打ち切られる。 「まずは、一人目」 それはそう告げる。 「お、始まったな?」 絶叫にそう告げながら急いでより良い場所を探す。
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