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「源龍、その様子じゃと、まだわらわのしもべになる気はなさそうじゃな」
「当たり前だ!」
言うや、源龍はだっと駆け出し。大剣を突き出し第六天女に鋭い突きを食らわせようとしたが。そのときには第六天女はひらりと宙を舞い、源龍を見下ろしていた。
なんのと大剣は上へとうなりをあげて持ち上げられたが、宙に舞う第六天女はくすりと笑うと、足を伸ばして、なんと大剣の切っ先の上に乗った。
と同時に、大剣はぴくりとも動かなかった。
「むッ」
源龍は大剣は振り下ろそうとしたが、どうあがいてもぴくりともうごかない。
第六天女は持ち上げられる大剣の切っ先の上から、源龍を見下ろしていた。
「無駄じゃというのに。何度言えばわかってくれるのかのう」
穏やかに微笑んでいる第六天女だが、その目は鋭い光を放っている。
それから、またひらりと宙を舞った。それと同時に大剣を動かせるようになって、源龍は宙に舞う第六天女めがけて大剣を突き出し振るった。
しかし、まるで扇に煽がれる木の葉のように、大剣を振るえば振るうほどに第六天女はひらりひらりと宙を舞う。
ひらりと宙を舞いながら、第六天女は腕一本で竹につかまって。その上から源龍を見下ろした。その竹に大剣が振るわれて、べきッとぶった斬られたが。すぐさま別の竹にうつって、さっきと同じように源龍を見下ろしていた。
完全に源龍はもてあそばれていた。
香澄はそのさまを微笑みながら見守っている。
「聞き分けのない『ぼうや』じゃのう」
「香澄のようになれなんて、ごめんだ」
「ほほ。最初は喜んでおったのに。じゃからこそ、その剣をくれてやったのだぞ」
源龍は動きを止めて、第六天女を見上げて睨んでいる。
「強くなりたい。それがそなたの望みであろう。わらわは、その願いを叶えようというのだぞよ」
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