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それは人間だった。しかし、
「腐った死体は見飽きたんだよ!」
と、源龍は吼えながら大剣を振るい次々とそれを粉砕していった。
それは、人間ではあるが、ところどころが腐敗し。ひどいものになると腐った眼球がたれ落ち、あるいは眼球そのものがなく。鼻も耳も欠け、あるいはもげているものまであり。
その損傷の具合は、とても生きているようには思えなかったが。それらは動いて源龍に襲い掛かってくるのだった。
それは静かにたたずんでいる香澄にも襲い掛かってきたが。源龍は意にも介さず無視している。
それらは大口を開けて香澄の眼前にまで迫り、腕を伸ばして顔面をつかもうとしていた。
その腕が香澄の顔を囲んだその刹那。幾多もの閃光ひらめき、同時に腕は吹き飛び宙を舞い地に落ちる。と同時に腕のみならず五体までもが瞬時にしてバラバラになって、ばらけて破片を地に落とす。
それを、香澄は剣を手にして見つめていた。
香澄はその手に握る剣で、己に襲い掛かるそれらを一瞬にして斬ったのである。
(七星剣はさすがの斬れ味だぜ)
傍目で見ながら源龍は香澄の剣の斬れ味に感心していた。
だが、斬ったからといって、それで終わりではなかった。なんと、あろうことか、その斬られたものの破片は、地面でもぞもぞと動いていた。
源龍もあらん限りの力で粉砕してゆくも、その破片までもが地面で芋虫のようにもぞもぞと動いているのだった。
「相変わらず、屍魔(しま)ってのは不気味だぜ」
と、源龍は吐き捨てる。
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