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「なッ!」
これには、さすがに驚き背中に冷たいものが滑る感覚を覚える。この屍魔ども、日ごとに強くなっているというのか。
いや、この驚きで動きが一瞬止まり隙を見せてしまった。気が付けば屍魔どもとの距離は縮まっている。屍魔どもは源龍を食わんとせんがばかりに大口を開けて、伸ばす手が源龍の肩に触れた。
「ふざけるな!」
渾身の力を込めて大剣を持ち上げれば、剣身は屍魔ごと持ち上がって。そのままぐるんと回りながら勢いに任せて屍魔を打ち砕き。間一髪で餌食になるのを免れた。
剣先をつかんでいた屍魔もこれにはたまらず手を放し放り投げられてしまい頭から墜落してしまった。
「化け物どもめ……」
力の限り戦い、屍魔の数もだいぶ減ったと思われるが。それでも、まだまだうじゃうじゃと屍魔どもはいる。
この者どもには、恐怖というものがない。だからこその、化け物どもなのだが。
「これは、馬鹿正直に相手するこたあねえぜ」
源龍は周囲を見渡し、忌々しく舌打ちする。
道を見れば、そこにも屍魔があふれている。しかしゆくしかない。竹林の中をめくらめっぽうに走っても道に迷うだけだ。ならば、屍魔どもを打ち砕きながら道を突っ走るしかなさそうだった。
「いくか……」
と地を踏みしめたとき、突然足首を何かがつかんだ。それは屍魔の手だった。地に落ちてもぞもぞと動いて源龍のもとまで来たのを気付けなかった。
「しまった!」
と思うも遅い。手は思いっきり後ろに下がれば、源龍の足は引っ張られて体勢を崩して転倒してしまった。
倒れたところに一斉に屍魔どもが大口開けて迫ってくる。
南無三。これでしまいか。
倒れながらもしっちゃかめっちゃか大剣を振り回すが、心のどこかで、もうだめだ、と思ってしまった。
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