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(こいつら、馬鹿か)
まあしかし、馬鹿だろうがなんだろうが、美味そうな獲物が目の前にあることには変わりない。男どもはふたりをにやつきながら、なめまわすようにじろじろ見ている。
「村人に泣きつかれて我らを退治しに来たのだろうが、たったふたりで何が出来る。今心を改めて詫びを入れるなら、命だけは助けてやるぞ」
無間道士は優勢に気をよくし、傲然と言い放つ。そこへ龍玉がやりかえす。
「おやそれはどうも。でも、あたしゃ好みにうるさいんでね。あんたらみたいなむさい男の言うことなんか、聞きたくないってもんだ」
「そうか、わかった」
「わかったから、なんだい?」
「そこまで言わせるな!」
無間道士は剣を采配代わりに突き出し、男どもに向かい、
「かかれ!」
と吼えた。
待ってました! とばかりに男どもは龍玉と虎碧に飛び掛る。とともに、ふたりの双眸がきらりと光る。
龍玉と虎碧も合わせていた背中を離し、男どもに立ち向かう。
剣と刀がきらめき、斬りつけられるのをかわし、あるいは己の剣で防ぎ、虎碧は軽やかに駆け無間道士向かってゆく。
龍玉も同じことを考えているようで、剣や刀をかわしながら、無間道士向かって突っ走っている。無論男どもはふたりをしとめようとやっきになっているのだが、かすりもしない。
「やっ!」
これには無間道士も少しは驚き、ふたりに備え剣を構えなおす。
雑魚なんかほっといて、道士ひとりをしとめるのが上策。それがふたりが咄嗟に考え付いた戦法だった。所詮か弱い村人をいじめるしか能のない盗賊ども、剣を交えるほどのものでもない。
その中で使い手というなら、無間道士ひとりだけ。ならそのひとりを集中的に攻めればよい。
(ええい、使えぬやつらだ)
歯噛みしながら無間道士はまず、小柄な虎碧向かって駆けて、さっと剣を突き出す。その碧い目が剣をとらえるや、相手の剣が眉間に迫るとともに身をかわし無間道士の懐に飛び込み、膝蹴りをお見舞いしようとする。
その素早い動きに驚いた無間道士は慌てて後ろに下がって、膝蹴りから逃れる。そこへ背中に龍玉の剣が振り下ろされる。
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