龍玉と虎碧

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 ふたりは無間道士の骸をあとにして。村へと帰ってゆく。  このことを村人たちはたいそう喜び。龍玉などは、ご馳走をいただけるかもしれない、うまい酒をたらふく飲めるかもしれない、と期待し。  もうすぐ村に着こうとするとき。 「ぎゃああああ――」  という、悲鳴が耳に飛び込み、龍玉と虎碧は驚いて顔を見合わせた。 「これは?」 「まさか、さっき逃げた連中が」  ふたりは駆け足で村へと向かった。考えたくはないが、さっき逃げた連中が腹いせに村を襲っているとも考えられる。  駆けに駆けて、村にたどり着けば。そこで、信じられないものを目にするのだった。 「こ、これは……」 「ありえないよ、こんなの」  思わずふたりは一瞬唖然としてしまった。  あろうことか、村人が村人を襲っているのだ。しかも襲っている方の村人の中には、ふたりに無間道士退治を依頼した村長がいるではないか。  襲う者、襲われる者とで村は大混乱である。  さらにふたりを愕然とさせたのは、襲う方の村人は武器を使わず、なんと無手で相手に噛みついていることだった。  数人餌食になってしまったようで、地面に転がる骸が数体見受けられたが。それらことごとく身体のいたるところを噛み破られて。まるで野獣に襲われてしまったかのような、血まみれの、無残なものだった。 「どうしたってんだい、これは」 「とにかく、止めないと!」  ふたりは駆けて、 「やめてください!」 「よしな!」  と暴れる村人にの首ねっこをつかんだり、ひどい者には手刀を食らわせて静めようとするものの。まったく効果がない。  それどころか、ふたりをよく知るはずの村長でさえ、ふたりがわかっていないかのように目をむいて襲い掛かってくる。 「村長さん。ごめんよ!」
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