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「村の人たち、化け物になっちまった」
龍玉がぽそっとつぶやいた。
狂乱した村人たちは身体がボロ布のようにボロボロになっていながら、立ち上がって不気味な目でふたりを見据えて囲んで、今にも襲い掛からんがばかりに殺気をみなぎらせている。
見れば、かろうじて生き残った村人らも。あるいは逃げ、あるいは家族友人の変わり果てた姿をなげいて骸にとりすがったり、あるいは家族友人が狂乱しふたりに襲い掛かろうとしているのを必死になって叫んで押しとどめようとしていたり。
「どうしたら……」
虎碧は苦々しくつぶやく。いかに狂乱していようと、村人を斬るわけにもいかず。殺さないように無手にて掌による突きや蹴りでおとなしくさせようとしても、まったく効き目がない。
生き残っている村人たちも同じで悲しみと同時にそうとうな恐怖を感じ、混乱に陥っている。
「墓から出てきて生き返ったと思ったら。人を食うなんて。禅児は屍魔になってしまったの?」
ある婦人が変わり果てた我が子を見て嗚咽する。
龍玉と虎碧はその言葉を聞いて、たいそう驚いた。
「屍魔って……」
「あの、屍魔ってこといかい……?」
耳を疑った。
屍魔といえば、死んだ人間がなんらかの呪いにかかったことにより蘇って人を襲い食らおうとする魔物のことではないのか。
この村は無間道士の一味に襲われてたくさんの死者を出している。その死者が屍魔になったということなのか。
「屍魔か……」
龍玉は舌打ちし、鋭いまなざしで屍魔となったらしき村人たちをひと睨みすると、無間道士の剣を捨てるやだっと駆け出し、村人のひとりの首を刎ねた。
虎碧はたいそう驚いて制止しようとしたが間に合わず、龍玉は立て続けに村人を斬りふせてゆく。
「龍お姉さん!」
「こうなったら仕方ないよ!」
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