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屍魔どももふたりを追って駆ける。
「振り返らないで、とにかく走るんだよ!」
龍玉絶叫。それは虎碧に言っているのももちろんだが、自分にも言い聞かせてもいた。
駆けて駆けて駆けて、村から出て。それからも駆けて駆けて駆けて。とにかくふたりは駆けた。
屍魔どもも駆ける。しかし必死のふたりには少しかなわないようで、距離は徐々に開いてゆく。
このまま振り切れるか、と思ったとき。目の前に人影が見えた。
旅人かと思ったが、違った。
「お前はッ!」
「無間道士!」
立ちはだかる者の姿をみとめて、ふたりは思わず足を止めてしまった。
あろうことか、龍玉がしとめたはずの無間道士がふたりの前に立ちはだかっているのだった。
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