一ヶ月

9/13
前へ
/82ページ
次へ
電気も点けられない暗い室内では、彼女の声と瞳しか見えない。 テレビ画面を見られていたのかと、気まずくなる。 思わず、彼女の瞳から目を反らした。 「欲求不満で浮気したんですか?」 責める様な口振りで続ける辻さん 「そんなんじゃあ…」 ないと、言いたいが… もしかしたら、欲求不満だったのかも知れない だから、ちょっと如何わしいDVDを見せられただけでこんな事になってしまったんだろう 「じゃあ、どんな積もりだったんでしょうか?」 辻さんに、そう言葉を促されるが 言葉に詰まる。 まさか自分が童貞で、やり方を後輩に教わろうとした 等とは、とても言えなかった。 「黙りなんですか? 勇雄は、都合が悪くなるといつも黙りだ」 呆れた様に言われてしまう 「すみません」 と、謝る事しか出来なかった。 「それは何に対しての謝罪ですか? 浮気してすみませんという事?」 「浮気だなんて…」 辛辣な台詞を浴びせられ、俺はどうしたら良いのか解らず、言葉で否定する事しか出来ない。 本当に浮気だなんてしてないのだ。 「まぁ良いです。これを何とかしなければね?」
/82ページ

最初のコメントを投稿しよう!

218人が本棚に入れています
本棚に追加