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この話は、江戸南町奉行、根岸肥前守鍖衛(ねぎし ひぜんのかみ やすもり)の著書「耳嚢」巻之七に収録の話である。
鍖衛は、忙しい職務の合間に、このような話を、千編あまりも集めたのだから、その執着ぶりは半端ではない。
旗本の仕事など、現在のパートよりも労働時間が短く、暇ならいくらでもあったが、町奉行ともなると話は別である。
町奉行の業務内容は、警視総監、東京地裁・裁判官、東京都知事を兼任していたのと同様である。
とてもではないが、ドラマの「遠山の金さん」のように、遊び回る時間などはなかったのだ。
その職務の傍ら、このような随筆を執筆したお奉行様は、よほど物好きだったにちがいない。
なお、この一編は、岩波文庫「耳嚢」(中)根岸鍖衛 著 長谷川強 校注によった。
原文の解釈に関しては、正確さよりも物語性を重視したので、必ずしも正確ではないことをお断りしておく。
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