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明るい蛍光灯の下で、俺は今日も幕末を走る。
新しいゲーム『狼の住処より』の限定100名先行発売に見事……いや、犯罪行為で俺は入手。既に10日もやっているが、なかなかクリア出来ねぇ。
このゲームの面白さは、既に把握済。
螢という圧倒的に強い少女が、幕末を駆け抜ける物語性のある……いや、殺人を楽しむゲームだ。
最初に新撰組か、倒幕派か選び、そこから派生するストーリーに沿って……めった斬りを楽しむ。爽快感が堪らねぇ。
特に、瞬歩からの瞬殺のコンボは、しっかり決めれば満足感すら覚える。
ただ、このゲームはとても難しい。
主人公のモチベーションランクによって、出せる技の数が変わる。
さっき、新撰組ルートを爆走していた時、通りに居た猫に話しかけなかっただけで……抜刀術『居合い』しか使えずに、倒幕派が仕掛けた浪士20人相手に生命を削られた。
ひたすら『居合い』。それしかコマンドがない。
20人相手に、ひらすら『居合い』。
『居合い』、下がってまた『居合い』。
いちいち下がって、刀を鞘に納めなきゃならんから、下がらなかっただけで攻撃を受ける。
このゲーム、まじで鬼畜。
「ふぁ~、やべ、眠い」
今日も俺は24時間近くやり込んだ。
このゲーム、かなり強い少女が最初から最後まで同じステータスだから、敵も最初から最後まで強いから手こずる。モチベーションランクの上下が激しすぎてヤバイ。
ちなみに、この主人公の螢という少女は、『敵を嘲笑って挑発』というコマンドが一番強い。カウンターを繰り出す技へ繋がり、とてつもない広さの間合いに入った敵全滅っていうチート技。
ただ、モチベーションランクが最高のSSSでないと出ない。
ただの『敵を挑発』だと、カウンター性能が落ち、たまに生き残った奴等に生命を削られる。
今もまた、『居合い』しか使えなくて死んだので……寝よう。
セーブして、俺は布団に潜る。
最近、ずっと幕末のゲームをしているからか、夢に侍が出てくる。
それはそれで良いが……やたらリアルなんだよな。
人を殺す感触というか、血の出方、断末魔。どれを取っても寝起きにご飯を食べれないレベル。
まー、いーけど。
注文をつけるなら、女の一人くらい出てきてくれ。
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