お話しましょう、そうしましょう

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  「ギリギリのとこで助けるくらいなら、始めから助けてくれたって結果は同じじゃねぇか……」  寒くて、体が震え出す。怖くて布団を握っちゃう。  なんて、か弱い俺が……するわけねぇ。  ただ、怖いなってのは、あるけど……言わないんだからねっ! 「俺が、どこで助けようが勝手だ」 「ふひっ……もう、新八君の意地悪馬鹿ばか!」  冷たく放たれた言葉に対して、俺はわざと拗ねたフリして布団の中に顔を潜らせる。  この新八の空気には、俺が耐えれねぇ。  抗うなって、毛穴から汗が出そうになるもの。  このまま布団の中で寝て、フラグなんか忘れちゃ…… 「むりー! 空気が薄すぎるっ!」  わねぇわ。  布団の中って息苦しい。鼻呼吸が満足に出来ない俺にはキツイので、あっさり布団から出ちまったわー。失敗。 「…………一人慌てて、面白ぇの? お前」  クスリ。澄ました顔で笑って……新八君は、布団から出たばかりの俺の額に手を伸ばす。  こ、これは、髪を引っ張られる予感っ! 「触らせねぇぜっ!」  素早い動きで、その手を掴んでしまえば……イヤーな予感しかしなかった。  なんせ、相手は……新八君だもの。  さっき、俺は聞いてたからね。  拒否されるのが嫌いって。 「夏生さー。腕を取るには力が些か弱ぇんじゃねぇか?」 「あいやー。俺ってば……何のフラグを立てたんだろうなー……」 「…………手を離すか離さねぇかの二者択一だけど、どうすんだ?」 「…………んなこと言われたってな、髪を引っ張られるのは御免だっつーの」 「へぇ。そんな風にしてほしいってことで良いんだな?」 「…………前フリじゃねーよっ!」  寝転んだまま、新八の手を握る俺の目には、掴んだ腕と、その向こうに楽しそうな新八が見えている。  コイツの本性は質が悪い。  本当に……質が悪くて、俺が何かに目覚めたらどうしてくれんだよ!?  あ。それはない。絶対ない。 「何言ってるか分からねぇわ。離さねぇってことで良いな?」 「…………」  すみません……誰か助けて下さい。  いや、まだだ。俺には奥の手があるじゃねぇか! 「……早く手を引かねぇと、喚ぶから! これ以上、俺を困らせるなら、召喚しちゃうからね!?」 「誰を呼ぶってんだ?」  …………。 「フッ。畏れおののくが良い! 召喚!  光久ァァアアアア―――!」    
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