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「次は肉だな、予想外だったがありがたい」
まずは肉を洗って汚れを落とし毛皮と肉を分ける。
この辺りは祖父と一緒にハンティングにつれられたさいによくやらされたので問題なく進む。
肉は、少し大きめの塊に切り分け森で採ってきた太い丈夫な蔓を使って干していく。
毛皮は大きなまま乾燥させて後で必要に応じて切り分ける。
「うん、とりあえずこんなもんかな」
日も暮れてきたので、夕食の準備にとりかかる。
まずは獲っておいた魚を同じく串に刺して焼く。
その間に森で見つけた食べられそうな果物を食べてみる。
リンゴに似ているが色が虹色の果物なのだが怪しい。
恐る恐るかじってみると
「甘い!旨い!」
口一杯に広がる果汁と鼻を抜ける芳醇な香り、強烈な甘さにも関わらず後味はすっきりしていて食べやすい。
「なんか、疲れがとれた気がする」
甘いものを食べたせいだけではなく、身体から疲れがすっと抜け落ちたように楽になった。
信じがたいがこの果物のお陰らしい。
「これは、明日も採っておこう」
幸い採った場所も近いためそんなに苦労せずにすみそうだ。
丸々一つを完食した頃に魚も焼けたので、食べていると
「グルル……」
狼が目を覚ましたようで首だけを大悟に向けて睨み付けていた。
「おぉ、起きたのか。相変わらず、すげぇ警戒心だな」
虹の実(仮)を手に取り狼の方に向かう。
逃げ出そうとしているのか、身体を揺らしているが動けそうもない。
「怪我して死にかけてたんだ。無理すんなって」
通じているのかわからないが狼の動きがおとなしくなった。
「そう、それでいい。とりあえずこれ食え」
虹の実を狼の口元に持っていく、少し警戒して匂いを嗅いでいたが大人しく口を開いた。
「少しは楽になるだろ、だからって襲わないでくれよ」
返事なのかわからない呻き声を上げて狼は再び目を閉じた。
「はぁ、ビビった。食われるかと思った」
軽く額を拭いながら大悟は食事に戻った。
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