23人が本棚に入れています
本棚に追加
食事を終えると、辺りも暗くなって来たので、大悟も早めに横になった。
「すげー、星だなぁ。てか月が二つある」
日本では、いや地球のどこにいってもあり得ない光景を目の当たりにし、大悟のたてていた予測が間違いではないことを悟る。
「地球じゃない世界、か」
異世界、にわかには信じがたいことだ。
でも、そうすると色々と辻褄が合ってくる。
いきなり森のなかに出たことも、植物の大きさ、見たことの無い魚に、出会った狼にそれを越える巨大な猪。
「色々ありすぎて脳が麻痺してるのかもな」
驚きと混乱がメーター振り切って逆に冷静になっている気がする。
「まぁなるようになるか、悩むのは得意じゃないしな」
思考が纏まらなくなってきたので打ち消して目を閉じた。
意識はあっという間に眠りに落ちた。
『気とは空気中に漂う自然の力だ。気功術はその力を借りる術なんだよ。見ようとしても見えはしない。感じろ、感じて操れ、さすれば自然の力はお前のものだ』
祖父に言われた言葉だ。当時はまったく理解できなかった。
今はすこしわかる気がする。
ペロッ
ペロペロ
なんだ?
「う?ん~?」
突然なにかに舐められているような感触で意識が覚醒した。
薄目を開ける。
「なんだ、狼か」
まだ、夜が明けかけてまもないじゃないか。
もう少し寝かせてくれ
「……って狼~~?!」
ガバッと起き上がる。
顔の前には狼。
右には、狼。
左にも狼。
後、狼。
「は、ははは、死んだ?俺?」
意味もなく両手を挙げてみるが、狼たちはなんの反応もない。
そして
ベロン
「ぬわっ!」
舐められた。
最初のコメントを投稿しよう!