#2 飛ばされて森

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「さて、この川沿いに下ってみるか。どこかに出るかもしれないしな」 少ない荷物を纏めて、立ち上がる。 干し肉と虹実を持てるだけもつ。 「あ、そうだ。これ作ったんだった」 久しく靴を履いてなかった足に巨大猪の皮を鞣して作った簡単な革靴。 素足よりましなのと滑り止めにはなってくれる、某獣姫の主人公が履いてたのを思い出して作った。 「よし、じゃあ行くか。お前らも元気でな!」 狼の群れに別れを告げて川に沿って歩き始める。 ザッザッザッ トテトテトテ ザザザザザザザ! 「…………着いてくるの?」 大悟の横には当然のように雌狼が着いてきていて、その後ろから群れが後を追う形で着いてきている。 「まぁいいか。旅は道連れ世は情けってね。仲良くしようぜ」 群れに一言かけて再び歩き始めた。 群れと行動を共にして数日、ずっと川沿いを歩いていると川幅が拡かってきた。 水が流れ落ちる音がしている為どうやら滝があるようだ。 「滝の上からなら遠くまで見渡せるな」 群れと無言で意志疎通が可能になった大悟は群れを止まらせると一人で滝に近づく。 「マジかよ……」 だが、目の前に広がる光景は衝撃的だった。 見渡す限りの森 その光景を見つめる大悟を心配そうに見つめる雌狼を撫でる。 「大丈夫だって、焦らずいこう」 水で顔を洗い、気持ちを切り替える。 「こいつは森を抜けるのに何ヵ月かかるやら」 改めて襲ってきた不安を胸の中に押し込んで大悟はまた一歩を踏み出した。 「じいちゃんめ、とんでもないとこに飛ばしやがって。でも、俺は絶対負けない」
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