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甲高い音が森に響く。
その音と共に狼たちが動く。
音の発信源は大悟の口笛だ。
狼たちと連携をとる際に色々と試行錯誤した結果こうなった。
「よし、よくやった!」
上手く獲物を仕留めた狼を誉めながら近づく。
「今日のご飯ができたな」
手早く獲物の血抜きをする。
「最近は獲物が小さくなってきたな。化け物みたいな熊とか猪は奥の方だけだったな」
特に熊の方は流石に死ぬかと思った。
一撃で大木へし折る腕力ってなんだ。
「よし、少し休憩しよう」
獣皮製のズックから干し肉を取り出して群れに配る。
さっきの獲物は巨大猪の角で作った串に刺して丸焼きにする。
倒した獣の珍しい部分は持てるだけ持ってきている。必要に応じて加工したりして使っている。
「ここ最近は人の入った形跡もあるし森を抜ける日も近いかもだな」
干し肉をかじる。
「森を抜けたらお前たちとはお別れだなぁ」
いつも通り隣にいるウルに話しかける。
ガブッ
「イタッ!」
撫でてた左手をあまがみされた。
どうやら別れる気はないという意思表示のようだ。
「いや、お前がよくても他の仲間が困るだろ?」
二十匹ほどいる狼を人里でつれ回すのは問題だろう。
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