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「どうやってと言われても、ここ一年ほどこの森の奥をさまよっていたんで」
「それを信じろと言うのかのう?」
右側に立つそこまで背は高くなく、右手には小さな杖、顔は皺が目立つ老人、と言ってもとんでもなく濃密な気を漂わせているが。
「それ以上に説明のしようが無いもんで」
そう答えると老人はふむ、と唸ったまま黙りこんだ。
「し、しかしですよ!この少年が一年間も一人でこの森の深部から脱出できたとは考えられません」
左側の女性、先程の老人よりは身長が高いが大きな訳でもない、インテリ眼鏡と 同じ色のパンツスーツ。
それに似合わないバストがスーツに膨らみを持たせている。
顔は童顔に金髪、インテリ眼鏡がロングの黒髪とは対照的だ。
老人は、白髪混じりに少し後退したおでこ、いかにもな感じである。
「ま、仲間がいたんでね」
「仲間?」
「そう、頼りになる仲間達がね」
大悟の言葉に会わせてウルが勢いよく飛びして大悟の隣に現れる。
「なっ!賢狼?!」
インテリ眼鏡が、驚く。
あ、こいつ見た目ほど冷静なタイプじゃないな。
何て考えながらもはじめて聞くフレーズについて考える。
「お前らそんなに格好いい名前持ってたのか?」
ウルに問いかけると、あくまで大悟の主観だが、どや顔でこちらを見返すウル。
「ほっ!これは面白い、古の狼が人になつくとはのう」
老人も興味深げに眺めてくる。
「しかし、賢狼は群れのはずです!一匹だけなんて……!」
ガサッとあたりを囲み込むように顔を出す狼たち。
「これが俺の仲間達、そして大事な家族さ」
ウルを撫でながら紹介する。
目を細目ながら満足げに唸る。
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