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その瞬間、二人を中心に光が溢れ辺りが真っ白になる。
「なんだ?!」
「な、なんなんですか~?」
「まさか……!」
手で光を遮りながら収まるのを待つ。
徐々に光は収まり始める。
「あー、ビックリした」
光が収まった中心には大悟がなにか変わった様子もなく立っていた。
「大丈夫か?ウ、ル……?」
仔犬ほどの大きさの狼が大悟の肩に乗っかっていた。
「お前、ウルか?」
答えるように可愛らしく吠える。
「あれは、いったい?」
「……血紋契約」
老人が口を開く。
「な、なんですか?それは?」
「かなり珍しいものじゃ。ワシも過去に数回しかみたかとがない。主を決め全てを捧げて契約を交わす。主の死は自分の死、それをも受け入れる契約じゃ」
「えーと。つまりどういうこと?」
何となくとんでもないことやらかしてることはわかる。
「まぁ、平たく言えば主従の契約じゃな。そのお陰で主の側にいるためにその姿になっているという訳じゃな」
「お前、そこまでするかね?」
ウルは満足そうに尻尾を振っている。
「まぁ、お前がいいなら構わないけどね。お前らはそれでいいのか?」
少し離れたところでこっちを見ている狼達に声をかける。
一斉に遠吠えをする。
その声は別れを惜しむものではなく仲間を送り出す門出の声のように聞こえた。
「……仲間も認めてくれたみたいだな」
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