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森の中を歩いていると意外と簡単に果物らしきものも見つけることができた。
「晩飯が豪華になるな、帰りに採ってかえろう」
探索の成果を喜びながら森をさらに歩く。
と、ガサッとこの森に入ってはじめて自分以外の動物的反応
「……っ」
無意識に景光を構える。
いつ出てきても対応できるように腰を落とし居合の構えを作る。
音の発生源が近づいてくる。
「おぉぉぉ!……ん?」
出てきたのは犬、にしてはかなり大型で、灰色の毛並みは狼と言ったほうがしっくり来るが、かなり傷だらけで弱っている。狼は基本群れで行動する。
一匹だけと言うことははぐれた、それにこの傷は何者かの襲撃によって思わぬはぐれ方をしたと思ってもいい。
「だ、大丈夫か?」
思わずわかるはずの無い言葉をかけるが、弱って気づいていなかったのかこちらに気づいた瞬間、目に力が戻る。
どうやらかなり警戒させてしまったようだが、奥からかなりの勢いで駆けてくる足音が聞こえるため、そんなことを気にしてる暇がない。
立てば大悟と同じ位の大きさになろう狼をここまで傷つける存在が追いかけてきているということだ。
「怖い、な」
構える刀が震える、覚悟していたつもりでも今まで刀で生き物を斬ったことなど無い。
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