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木漏れ日が差し込む森の奥に名前もない村がありました。
村人たちは、生活できる程度の自給自足を行い、朝は畑を、夜は中央に集まって酒を交わし、歌を歌う。そんなのんびりした村に少年「ユウキ」は住んでいた。
気候は豊かで、のどかに聞こえる小川のせせらぎ、小鳥や虫たちが鳴く小さな合唱の中、ユウキは草道を駆けていた。
病気の妹の為に、薬草をとっているのだ。
この村には病院はない。
祖先が残した知識のみで、病気を治さなくてはならない。または、森を抜けた先にある大きな町に行くしかない。
しかし、大きな町に行くには1週間もかかる。
1週間もかけて行くぐらいなら、自分たちの森の知識で直した方が早いと考えている。
薬草を夢中で取っていると、ユウキはとある祠を見つけた。
もう、何年も雨風に打たれせいなのか、建物の大半は緑一色に覆われ崩れていた。
だが、その神々しい彫り物や石造をみる限り、何かを祀っていたという事が見れば誰もがわかるだろう。
ユウキは思った。
こんな場所に祠がある事や何を祀っていたという話は聞いた事がない。あとで、祖父にでも聞いてみようかな?にっこり微笑み、籠に数本ある薬草を持って家に帰った。
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