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「その場所には、行ってはならん!!」
地響きが起こりそうなぐらいの大声でユウキの祖父は怒鳴る。その顔色は青く絶望さを感じさせた。真剣なまなざしで見てくるので、ユウキは驚き目を丸くさせていた。
「まさか…、入っていないだろうな??」
父も祖父と同様に顔を青めながら、両手を肩に掴んできた。ユウキはまるで蛇に睨まれた蛙のように身動きができず、首を何度も横に振った。
父と祖父は顔を見合わせ、ホッと安堵の表情を浮かべる。
どっと出た冷や汗を拭いながら、父は椅子に座り語ってくれた。
「お前には、まだ言っていなかったが、あの場所は禁忌の場所なんだ。口にする事も禁止。とにかく、あの場所には二度と行くな。薬草取りも場所を変えよう…」
「わ…分かったよ。父さん」
「それにしてもよかった。お前さんが無事でのぅ」
祖父がひげを弄びながら頭を撫でてくれた。心底、彼を心配しているのが分かった。
だが、ユウキにとっては好奇心をくすぐるばかりだった。
家族の心配は分かる。けど、あの遺跡には何があるのか?なぜ、親が顔を青めるほどの畏怖さが存在するのか?そんな事が頭に横切り眠れない夜が続いた。
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