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ある日の事だった。
いつのように薬草を取っていたユウキは、気が付けばあの遺跡の前にたどり着いていた。
一体、あの遺跡には何があるのか?好奇心が疼く。一歩ずつ歩みよろうとしていると突然、声を掛けられた。
「ねぇ?」
その声は小鳥の囀りのような可愛く、魅入られるモノがあった。ユウキは飛び上がり、声主を探す。
家族から絶対に入ってはいけないという罪悪感が沸々と膨らませ、焦りとして表れた。
ぐるっと見渡すと身近に、雨も降っていないのに傘を差し顔を隠している女性が立っていた。
上半身は露出が多い服を着ており、白い柔肌からみて美しい女性だと感じさせる。
こんな女性は、村では見たことがないし、服装からにして旅人とは思えれなかった。
神官?巫女?そう頭を横切るが、神装なような格好でもない。
どちらかというと貴族っぽい。貴族のお嬢様がちょっとそのあたりを散歩をしている、そんな感じである。
逆光する太陽を背に、女性は傘からゆっくりと顔を露わにし、にっこりとほほ笑んでいた。
どうやら、ユウキに注意を促すという訳でもなさそうだ。
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