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困った、困った。こまったさんのビーフストロガノフ。
勢いで飛び出して来たものの、菜月の居場所なんてこんな広い遊園地で簡単に見つけられるハズがなかった。なんかいつも怒らせてばかりな気がするな……。
電話をしても出ない。『謝りたい。どこにいる?』と送っても既読すら付かなかった。
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《ちゃんと上手くやれてる?》
《ここ想像以上に怖いから》
《アンタも気を付けてね》
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菜月から送られてきたメッセージを最初に無視していたのは、自分の方だった。アイツから送られてきていた文を今更読み返して、笑ってしまう。
腰を抜かすほど怖がっていたそうなのに、人の心配かよ。苦手なのをそこまで我慢して、どうして僕に協力してくれているんだ。
もう一度、電話を掛けてみる。コール音がしばらく鳴り響いた後、今度はしっかり繋がった。
「『……なに』」
ぶっきらぼうな返事が返ってくる。なにとはなんぞや。なにとは。
「お陰様で頭は冷やした。今、どこにいるんだ? みんな心配してるぞ」
「『知ってる。のどかから連絡あったし。アンタこそどこよ』」
マップを広げて辺りを確認する。適当に走り回っていたものだから、位置情報を特定出来ていなかった。えっと、めぼしいアトラクションはあったかな。
【激震の巨人】の等身大模型がある。垂直型のジェットコースターも見えたから、現在地は……ここか!
「今、居るところは『ワシントンハイウェイ』と『マサチューセッツ州』。二つのエリアのちょうど境目だ。そうだな、近くに【ド・ドドドドドドドドドンパ】がある」
それにしても本当に「ド」が多い。星野源かっての。
説明すると、唐突に電話が切れた。そっちに今から行くから待っておれ、という意味であろう。
……わかった、わかったよ。わかったさんのゴルゴンゾーラクリームパスタ。
ため息をつきながら、渚にメールを送る。『菜月発見。後から行くから、適当に遊んでて』と。全く手間がかかる女の子だ。
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