ハーレム高校生と愉快な仲間たち④

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 プラスチックの容器にはまだ熱が残っている。食べ終えたホットドッグの櫛を入れて輪ゴムで閉じる。とてもジューシーで美味だった。 「……確かにいい匂いするわね」 「よな」  クリスタルを開封して、手を扇ぐように嗅いでいた。別にアンモニア臭とか出ないから安心してくれ。それ合法だし。 「のどか達、さっきまで【バック・トュ・ザウルス】乗っていたんだって。服が濡れたから、今は【火事】に並んでいるらしいけど、どうする?」 「僕はもう乾いているし、遠慮しておくよ」  菜月がスマホを開く。絶賛安穏とメール中。もう他のメンツは僕らを置いて、遊び始めたようだ。  ちなみに【バック・トュ・ザウルス】は過去や未来を飛び交いながら、恐竜から逃げる乗り物だ。最後に『3.2.1……GOー! スプラッシュ!!』と叫びながら落下して、激しい水しぶきを浴びせられるのが特徴的。  【火事】はそのまま、バックドラフト現象が起こるのを肌で感じるだけの体感的なアトラクションである。全てパンフ情報な。  僕も携帯を取り出して時刻を見る。もう15時か。乗れるアトラクションも待ち時間次第では一つや、二つ程度か。  時間をチェックしていたからか、菜月がスマホから目を離した。 「行かなくていいの? あたしと一緒にいたら、のどかと二人きりになれないでしょ」 「グループ行動だし、もう諦めたさ。それにオリエン合宿は遊園地だけじゃない。先は長いんだ」  ともあれ、流石にそろそろ戻らなくてはな。僕らが代表班なのに、そのリーダーであるクラス委員長と副委員長が勝手な行動をしているなんて言語道断だ。 「あっそ。なんにせよ、もうあたしは協力しないから」 「うん、ありがとな。色々と手伝おうとしてくれて。菜月がいてくれたお陰で、気持ちに余裕が出来たよ。感謝する」  立ち上がって、近くにあったゴミ箱にプラスチックの容器を捨てる。なんだかんだで一時間くらい寄り道していた気もする。
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