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「榊原多恵、辞令だ。
速やかに荷物を纏めて付いて来るように」
「はい?」
デスクに座る彼女を見下ろし、今朝発令されたばかりの
辞令を見せた。
ポカンとふっくらしたピンクの唇を半開きにして、
俺を見上げている。
近くで見ると、一層可愛い。
「わたし、聞いていませんけど」
他の奴ら同様、ビビられるかと覚悟していたが、意外に
冷静な返事が返って来た。
「今言った。早く荷物を纏めろ、捨てるなら別だが」
周りからガン見されている。
まだボケっと俺を見ている彼女を急かした。
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