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慌てて引き出しをかき回し始めた彼女を見ながら、
心の中で思い通りの結果に安堵する。
あれから、彼女の噂を集め、昼はできる限り
社食へ足を運んで、遠くから彼女を眺めた。
この俺が、まさか三十路を前に
そんな真似をしようとは…
自分でも苦笑する行動に、十年来の親友までもが
「おまえ、頭おかしなったんちゃうか?」
と呆れた。
そうだよ、おかしいんだよ。
そんな事、俺が一番わかってる。
総務課長が段ボール箱を抱えて来て、餞の言葉を
掛けている。
支度のできた彼女と二人で、総務課を後にした。
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