8.想いのままに

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「おうおう、偉くなったもんやな。 だからって、俺ら営業が必死に取って来た 仕事にケチつけてええと思ってんのか?」 課長の元から俺の方へやって来た榎田は、 端の席に座る多恵の向こう側で立ち止まった。 「別にケチつけるつもりなんか無い。 ただ、営業が提示した数字に無理があると 判断しただけだ」 「どこが無理やねん。具体的に言えや」 「個人経営の小さな居酒屋だぞ、 あまり在庫を抱えさせたくない」 「そんな事、ちゃんと計算してる」 ああいえばこう言う。 榎田とのバトルはなかなか終わらず、俺達に 挟まれた多恵は、縮こまってチマチマと キーボードをたたいている。 可哀そうな事をした、場所を変えれば良かったな。 今からでも移動するか…
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