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多恵に対しては、何の飾りも計算も要らない。
想いのままに振舞える、初めての女。
榎田の言い分を認めると、多恵の話題になってから、
ずっと寄せられていた眉間が、やっと開く。
そして、避ける間もなくバシッと背中を叩かれた。
「ってぇ…」
「良かったな、おまえにそんな顔させるんや、
大丈夫やろ。せいぜい仲良うしいや」
「ああ、そうするよ」
納得したか、こいつにも随分心配かけたな。
ホッとして開けたままになっていた、缶コーヒーに
口を付ける。
「で、もうヤったん?5年ぶりやろ、大丈夫やった?」
「ゲフォ、ゲホ、ゲホ、おま、ケホ…何言って…」
いきなり突っ込まれてむせ返る。
「重要やろ、アラサー男が好きな女に
手ぇ出さずに我慢できるん?」
「直球過ぎるだろ、おまえの心配なんていらねえよ!」
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