9.sweet night

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河村を殴り倒したい気持ちを抑えて、何とか 叱りつけるに止め、その場を収めた。 その後、先に帰った多恵を拾い、 今に至るというわけだ。 多恵と付き合い始めてからは、仕事帰りに 毎日彼女の部屋に寄り、家に連れて帰るのが 日課になった。 彼女の温もりを知ってから、一人の部屋が どうにも侘しくて、よほどの事が無い限り、 夜を共に過ごしている。 困った顔をしながらも、俺の我儘を許してくれて 迎えに行けば、黙ってついて来てくれる。 彼女は不思議な包容力の持ち主で、俺が甘やかして いるつもりが、実のところ、甘やかされているのは 俺の方だったりする。 綺麗というより、どちらかというと、可愛い印象の 顔立ち。 一見、守ってあげたくなるタイプだが、芯は強くて、 今も頑なに俺の質問に口を閉ざしている。 「おい、聞いてるのか!」
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