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河村を殴り倒したい気持ちを抑えて、何とか
叱りつけるに止め、その場を収めた。
その後、先に帰った多恵を拾い、
今に至るというわけだ。
多恵と付き合い始めてからは、仕事帰りに
毎日彼女の部屋に寄り、家に連れて帰るのが
日課になった。
彼女の温もりを知ってから、一人の部屋が
どうにも侘しくて、よほどの事が無い限り、
夜を共に過ごしている。
困った顔をしながらも、俺の我儘を許してくれて
迎えに行けば、黙ってついて来てくれる。
彼女は不思議な包容力の持ち主で、俺が甘やかして
いるつもりが、実のところ、甘やかされているのは
俺の方だったりする。
綺麗というより、どちらかというと、可愛い印象の
顔立ち。
一見、守ってあげたくなるタイプだが、芯は強くて、
今も頑なに俺の質問に口を閉ざしている。
「おい、聞いてるのか!」
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