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「それは…」
言い淀む彼女に代わって、山下を手招いた。
「山下、ちょっと」
多恵から少し離れ、大まかな事実を教えてやる。
「榊原は彼氏の所に行くんだ。
俺にはもうバレてるんで、開き直ってるが、
おまえに言うのは恥ずかしいみたいだぞ」
小声でそう言うと、山下はハッと顔を上げ多恵を見た。
「は?彼氏って、あいつに!」
「ショックだろうが事実だ」
「こんな時間に彼氏の家って、守谷さんは
それで良いんですか?」
「良いも悪いも、彼女の自由だ」
今や多恵は、当たり前のように俺の部屋に
帰って来る。
彼女の私物も増えて、あの部屋は既に
俺だけの部屋ではなくなっていた。
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