10.jealousy

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「それは…」 言い淀む彼女に代わって、山下を手招いた。 「山下、ちょっと」 多恵から少し離れ、大まかな事実を教えてやる。 「榊原は彼氏の所に行くんだ。 俺にはもうバレてるんで、開き直ってるが、 おまえに言うのは恥ずかしいみたいだぞ」 小声でそう言うと、山下はハッと顔を上げ多恵を見た。 「は?彼氏って、あいつに!」 「ショックだろうが事実だ」 「こんな時間に彼氏の家って、守谷さんは それで良いんですか?」 「良いも悪いも、彼女の自由だ」 今や多恵は、当たり前のように俺の部屋に 帰って来る。 彼女の私物も増えて、あの部屋は既に 俺だけの部屋ではなくなっていた。
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