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「…わかりました。今日はあなたに任せます。
あいつの事お願いします」
顔を曇らせて頭を下げると、多恵に手を振って
ホームの奥に走って行った。
ふん、おまえに頼まれる筋合いなんて、無いんだよ。
元々俺が守るべき女なんだから。
まあいい、やっとハイエナを追い払った。
多恵の傍に戻って、改札を出るよう背を押す。
「山下になんて言ったんです?
わたし達の事、話したんですか」
眉を寄せ見上げる彼女の手を引いて、
家に向かって歩く。
「いや、おまえが彼氏の家に行くと、言っただけだ。
それでも、相当ショックだったみたいだが」
「わたしに彼氏がいるなんて、全く考えもしなかった
んでしょ。以前からかわれたもの」
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