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「わたしもお洒落……」
その後も何かを喋っていたが、少しも耳に
入らない。
タブレットを置いて、腕を掴んで携帯を取り上げた。
「秀一君?」
「多恵、見合いって?」
自分のものとは思えない、乾いた声で問う。
目を瞠って俺を見る多恵。
答えない彼女を引き寄せて、更に問う。
「答えろ、何で見合い?」
「何でって…赤ちゃん、赤ちゃんが欲しいんです」
多恵の答えに再び凍り付く。
子供が欲しいから、見合いをする?
付き合って、まだそれほど長くない。
それでも俺は、彼女との将来を考えて始めていた。
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