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ジッと見つめて視線で訴えてみたが、一向に気付かない。
「その手、誘ってるのか?」
「へっ?」
言われてやっと、自分が何をしてるか気が付いた。
「いや、これは、断じて違います!」
慌てて離し、ヒラヒラ手を振って
誤解をアピールしている。
そんな事は承知の上だが、俺を気もそぞろにした
罰に、少し焦ってもららおうか。
「俺は喜んで相手するぞ。ただし、今は有頂天だから
手加減できるかわからないけど?」
ズイッと顔を寄せて言うと、ますます焦って
俺を宥めようとする。
「今はダメ!夜、そう、夜にしましょう。ね?」
焦りのあまり、墓穴を掘った事に気付いていない。
「夜にね、いいだろう。
たっぷり可愛がってやる、明日は休みだしな」
さまざまな約束を取り付け、彼女を解放して
キッチンに片付けに向かう。
やっと嵌められたことに気が付いた多恵が、恨めし気に
俺を見ていた。
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