26.密かな決着

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「ありがとう、守ってくれて」 「当たり前のことだろう」 腰のあたりに抱き付いて、上目づかいに俺を見る。 クシャっと頭を撫でて、照れくささを誤魔化した。 「それでも言いたいの、青山さんの事も、ありがとう」 「逆の立場だったらと思うとな」 本当にそうだ。 多恵が他の奴のもので、俺が片思いの立場だったら? 嫉妬に狂って、青山のように何かしたかも知れない。 確実な事はわからないが。 人は愛し過ぎると、時に相手を傷付け、同時に自分も傷付く。 今回の事は、自分への警鐘でもあるのだと思う。
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