27.エピローグ

2/4
11538人が本棚に入れています
本棚に追加
/552ページ
「多恵、『Leaf』の」 「パソコンの右横です」 「赤い付箋は?」 「修正して課長に回しました」 「ん」 立て続けのトラブル処理に追われ、仕事の方は必要最低限 のラインしかやっていなかった。 以前の俺なら、あり得ない事だ。 社会人として、褒められた話ではないが、時には こんな事があっても良いんじゃないかと思う。 多恵と出会ってから、俺は本当に変わった。 バレーボールを諦めてから、本気で執着するものは 無かった。 一時はそれが、清水みちるだと思ったが、全くの勘違い。 それどころか、手酷く傷付けられる羽目になった。 その後の、心を閉ざした数年間はきっと、多恵に出会う為に あったのだと思いたい。 あの時傷付いたから、今、彼女の大切さがわかるのだから。
/552ページ

最初のコメントを投稿しよう!