27.エピローグ

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目の前でキーボードを打っていた多恵が、手を止め、 ため息を吐く。 「多恵」 「はい?」 名を呼べば、返事とともに、優しい笑顔が返ってくる。 「疲れた?」 「ううん、大丈夫」 その笑顔がまた、俺を笑顔にする。 「うわー、守谷さんと多恵ちゃん、職場で堂々と 見つめ合っちゃって。目の毒ですよ!」 河村が大騒ぎするから、皆がこちらに注目する。 岡本さんがそれに便乗して俺達をからかい、部署が 笑いに包まれた。 「もー、ラブラブは家でやってください」 「後学のために、おまえに見せてやってるんだ」 そう言って、ニヤリと笑った。 笑うことが難しかったあの頃が、今では嘘のようだ。
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