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「..らく...さ、らく...桜君!!」
びくっと肩が震えた
「大丈夫?...そんなわけないわよね...」
ごめんなさいと謝る先生に
「本当...なんですよね、それ...僕は...」
と、無意味な質問をする
「嘘と言ってあげたいけど...なんらかの病気であることは間違いないわ」
覆ることのない真実
「それでね、桜君に病院で精密検査を受けてほしくて...これから一緒に行ってくれないかしら」
「あの..両親には」
心配になったのは両親のことだった
「まずは本人にと思って...それにちゃんとした診断がおりてからのほうがいいと思うの」
「わかりました。行きます」
それから僕は早退して先生と街の総合病院に行くことになった
「こんにちは、君が桜君だね?」
優しそうな医師が僕にそう尋ねた
「はじめまして、私は今日君の検査を担当する室井です。緊張してるみたいだけど、難しいことは特にないからリラックスしてね?」
緊張...していたのかな
「それじゃあまずは尿検査用にこれに入れてきてくれるかな?」
と手渡されたのは、小学生のときによくやったものだった
「コップはトイレのゴミ箱に捨ててもらって構わないから」
いってらっしゃいと言われて、僕はトイレへと歩き出した
尿を入れた容器を紙袋に納めて室井先生に渡すと、先生はそれを看護士に検査にまわすように指示した
「それじゃあ少し触診するから服をあげてもらえるかな?」
言われるがまま制服の裾をまくりあげる
「....桜君は、ちゃんと食べてるのかな?少し痩せているよ」
食べてはいる...でも量は減った
大地のことを考えると悲しみで食欲がなくなるんだ
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