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室井先生はすぐに両親に連絡を入れてくれた
大急ぎでやってきたのか、両親とも着衣は乱れ、髪の毛もぐちゃぐちゃだった
でもそれが愛されている証みたいで嬉しかった
先生の話を聞いた2人はやっぱり驚いていた
母の方は、亡くなった叔母を思い出したのか涙を流した
「息子は...どれくらい生きられるのでしょうか」
父が意を決して先生に尋ねた
実のところ僕も詳しくは聞いていないところだった
「病気の進行具合や治療の方針によって大きく差が出てきます。それに病気の進行を遅らせることができれば長く生きることも可能だと思われます。しかし必ずそうなるということは断言できません」
だから過度な期待をしないようにということだろう
「桜君、入院の手続きをしていいね?」
「...よろしくおねがいします」
両親の顔を見ると、そう言うしかないじゃないか
「先生、そうなると学校は...」
「通うことは難しいですね」
いつ症状が悪化するか分からないから、できるなら休業したほうがいいらしい
辞めてしまおうか...
そうすれば大地の裏切りを見ることもなくなる
離れてしまえば...
この苦しみや悲しみもなくなる
そう思った
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