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だけど僕は?
僕の時間はレンを抱いたあの日からずっと――。
深い暗闇の中に
止まったまんまだ。
「おい、あれ――」
何の前置きもなく――。
突然、レンが画面に現れた。
と同時にアトリエの外
かすかに隣室の扉の閉まる音がする。
レンはまるでカメラに向かって微笑みかけるように、甘い笑みを浮かべていた。
――それだけじゃない。
誘いかける――少年特有の挑発的な視線。
密会を象徴するように、口元に人差し指を立ててみせる。
きっとレンの視線の先には
頬を赤らめうつむく星蘭がいる。
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