解離

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今日も雨が降っている。 それは回避不能なスパイラルの始まりの合図でもあった。 出なければいい。 夫に話せばいい。 警察にだって… そんなことはとっくに試した。しかしどれも徒労に終わった。 一歩手前で他者との繋がりは切れてしまうのだ。 あの男を除いて。 やがて私は知ってしまう。 私という存在と、 この世界というものを。 ピンポーン ピンポンピンポンピンポーン 死神などという、そんな陳腐で生易しいものがいるのであれば、どうか私に終わりを与えて欲しい。
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