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「そう、じゃあそんな訳ッスから湯葉さんはここから出ないでほしいッス」
「でもさ。おかしくない?別に桧谷さんはその……」
「新塚さんの事ッスか?」
「そう。新塚さんと付き合ってるっていうのは、告白して付き合うことにしたんでしょ?」
そう言うと桧谷さんは若干顔を赤らめて
「ま!…………まあ、そうなんスけど…」
「じゃあ、ボスにあれこれ言われる筋合いないじゃん」
「それは、湯葉さんがあの人の本当の恐ろしさを知らないからッスよ」
「そりゃあ、実力行使されたら桧谷さん負けるけど」
「甘いッスね」
「何がさ」
「いいッスか?ウチらのボス、溝ノ口芥子(みぞのぐち けし)という人はそんな実力行使なんていう殴る蹴るだけで済ませる女じゃないんスよ」
「じゃあ何を」
「まず、最低でも全裸ッスね」
「は!?」
「好きだった人を奪われた恨みはあの人にとってはそれだけ深いという事ッスよ。えー、因みにウチが知ってる限りでこの間でも、一人全裸にされて一日中校門に磔にしたとか………」
「…………」
「だからそんな目に遭いたくないッスから少しでもあの人に情報を渡す要因になる人にはここにいてもらう必要があるんスよ!!!!」
「…………」
「お願いッス…………………まだこの年で人前に裸を見られるのは嫌なんスよ………」
「……………はあ………分かったよ」
「本当ッスか!!」
そりゃあ目の前で半泣きしながら女の子がお願いしてたら断れないよ
「で、聞くけど学校はどうするの?」
「もちろん。こうなったらサボリッス」
「……………」
「心配しなくてもいいッスよ。ウチ、これでもネットで稼いでるッス。お金には困らないッスから」
いや、そこじゃなくて
「でも、桧谷さん。いいの?」
「何がッスか?」
「いや………だって、1つの部屋に若い男女がいるって状況は……」
「…………は?」
「え?」
何だろう、この返しようは
「湯葉さん、あなたは自分が握ってる手の先見てみたらどうッスか」
「握ってる…………手?」
そう言われて、今気がついた
僕の右手には、あの女の子。僕があのヤンキーの女の子達から助けたかった女の子の左手が握られていた
「あ……………」
顔を見ると、綺麗な艶のある黒髪のセミロング。瞳も綺麗な黒色、レンズの上だけがフレームになってるタイプの眼鏡が明るい青色で、桧谷さんよりさらに白い肌は透き通っているようで、背も桧谷さんより低い。多分150㌢くらいではなかろうか
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