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何やら教室の方で音がした
いや………本当は音の正体は分かっている
ただ、そうだと思いたくないだけであって
「何か言えっつう………の!!!!!」
ドカッ!!!!
「うっ!」
女の子のうめき声が聞こえる
うん。やっぱりこれ、苛めだろう
僕も過去にあったからわかる
ここは助けにいきたい気持ちはあるんだけど、こんだけの人数。それも教室入り口をふさぐ形でいるから入ったら袋叩きは確実だ
一体どうすれば………
こういう時、男なのに情けないとは思う。でも、僕では助ける術がないのだ
そう、僕では……
そう思って周りに助けを呼べる人を探そうとするが、誰もいない
この騒ぎを知って、本来なら運動部がランニングで通るはずの窓の向こうの校庭には誰も通ってない
噂には聞いてたけど、まさか、今僕の近くにいるヤンキーチームってあの、教室でクラスの生徒達が話してた[溝ノ口組]なのか
だとすると、ヤバイ!?なんだったっけ!?え?
組自体は他にも人数が多い所があるにも関わらず100もの数のヤンキー集団を全員蹴散らしたとか
暇だというだけで熊や狼をボコしに行くとか
他にも色々聞いたかもしれないけど覚えてる限りでそこまでだ。というより、これ以上恐怖の判断材料を増やしたくない
「そこで何やってるッスか~?」
「!?」
僕の側に茶髪を肩より少し下まで流した大きい猫目の女の子がやってきた
他のヤンキー達と違ってピアスとかアクセサリーとかは全くしてなくて、ただ、肩より少し下まである茶髪と顔とか雰囲気から少しチャラい感じはする
「もしもーし?聞いてるんスけど~?」
ん?待てよ、この女の子って………
「えーと、桧谷恋(ひのたに れん)さん?」
「ああ、そうッス。よく分かったッスね」
「同じクラスだよ」
「そうだったんスか?」
「知らなかったの?」
「いや、逆によくウチの名前覚えてたッスね」
「桧谷なんて名前珍しいから」
「まあ、確かにそうッスけど下の名前まで覚えるッスかね~?」
まあ、正直言うと桧谷さん、結構可愛いからフルネームで覚えてたんだけど、流石に本人相手にそんな事は言えない
「そうだ!ねえ、桧谷さん。誰か先生を呼んできてよ!!」
「それってウチのチームを止める為ッスよね?無理っスよ」
「どうして!!」
「先生すらも手にしたくないからって逃げてるんスから。それほどにウチのボスは強いんス」
「そうか。って待ってウチのって事は……」
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