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なんて妄想して浮かれているとおっ、新入部員!?と横から声を掛けられた。
ショートカットでピンクのリボンを付け、人懐っこそうな大きな目は垂れており──何より白い上衣でさらに強調される胸元──そんな可愛めの生徒がそこに立っていた。その生徒より私の方が少し大きかったので見下ろすような形になり、上目遣いが私の理性のドアを吹っ飛ばそうとする……と、また自分の世界に入っていると手を取られた。
「君、本田真央だろう?是非弓道部に入部してくれ!……いやぁ、見つかってよかった…!俺はつくづく運のいい奴だな…」
ぶんぶんと掴んだ両手が激しく振られるのをみながら話を聞いていたけど、え?もう私入部決定!?しかもなんでこんな知らない子に???
「えーっと、あのぅ……私のこと探してたって?しかもなんで私のこと知ってるの?」
そういうとその生徒は心底驚いたという表情で生徒手帳を取り出した。
「俺は皇明学院の情報屋だぜ?そう、1年5組、氷川美澪(ひかわ みお)だ!」
ぅえ?という変な声が漏れた。私の目の前にいるこの可愛い生徒が情報屋と称される氷川先輩…だと?もっと恐ろしい先輩をイメージしてたというのに!なんか悔しい!
「真央くんは本田真理先輩の妹なんだろう?なら、弓道出来なくてもルールぐらいなら分かると思うんだが…どうだい?」
流石氷川先輩、私のお姉ちゃんのことよく知ってるなあ…私のお姉ちゃんは本田真理(ほんだ まり)っていって近所の弓道チームに所属して大会とかにもよく出ている。その大会に私は手伝わされに行くからルールぐらいは分かるんだけど…、氷川先輩は私が弓道出来ないってなんで分かったんだろう?やっぱり弓道やってるかどうかは分かっちゃうんだろうか……
「まあ、そんなことは置いといて……今から部長に会いにいこうか?紹介もしたいし、他の部員にも会ってほしいんだ」
なんて、そんなこんなで私は晴れて帰宅部から弓道部へと(強引に)生まれかわったのだ…!
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