トウ艾と鐘会

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陽平関総兵の蒋舒は期待通り臆病だった。 トウ艾に陽安関を落とされると、姜維は漢中、沓中をすて、剣閣に逃れた。 「いやーっ あと少しで成都だ。 トウ艾。 やるぞ?」 「おう。 」 しかし、トウ艾は違和感を感じていた。 漢中から撤退した割には、兵は健在である。  鐘会は知将ではあるが、実戦経験は乏しいようだ。 「しかし、流石に剣閣の守りは堅くなろう。  正攻法では不味い気がするが。」 トウ艾は鐘会に尋ねる。 「確かに。 しかしながら、今、姜維が孤軍奮闘している状態だ。 それに、トウ艾殿には正攻法以外にやり方をご存じか?」 トウ艾はしばし考え、 「摩天嶺を越え、江油、フ、綿竹、成都と攻めれば、解決しますがな。」 「成る程な。」 鐘会はあざ笑うようにあいづちをうつ。 トウ艾はムッと来て、 「これくらい無茶しなかったが為に諸葛孔明は長安を落とせなかった。  時には無茶しないと高名はたてられませぬ。」 と言うや、自陣に帰っていった。
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