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その頃、姜維は。
「姜維殿。何故この危機にネイ随は戦地を離れたのですか?」
幕僚の趙広が尋ねた。
「何故か。 今にもわかる。」
姜維は笑っていた。
一方。
「馬鹿な!!」
摩天嶺を登り終えたトウ艾達を、蜀軍が出迎えていた。
「ふはははは。 姜維が副将のネイ随がトウ艾の首を戴くぞ
といいたいが、降る気はないか?」
ネイ随は質問する。
「馬鹿言え。 」
トウ艾は唾を吐き捨てた。
「ならば、一つ問おう。 トウ艾、お主は魏の臣下か? 司馬公の臣下か?」
ネイ随は再び問いだした。
「……何が言いたい?」
「まあ、どちらにしても同じか。
今にも司馬公は魏を簒奪するだろう。
蜀がこうして滅び、呉も滅んだら、お主はもはや用済み。
しかも、蜀を滅ぼした大功は、司馬公にも邪魔でしかない。
直ちに抹殺されるだろう。
まさしく、 狡兎死して走狗煮らる
ではないか。」
トウ艾はしばらく思案して。
「それは貴君の君主とて同じでは?」
ネイ随は首を横に振り。
「それは、葛公(諸葛瞻)が防がれましょうし。
今度の陛下は聡明とのこと。
まずありませんね 」
トウ艾はうなだれるばかりだった。
傍らにいた師纂、トウ忠、許儀は頷いて、
「「「私達は蜀に降参致します!」」」
1500に減少した兵士も。
「トウ艾様。 あなたに良くしていただいた私共からもお願いします。
蜀に降りましょう。」
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