トウ艾と鐘会

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「それもそうだな………。」 「トウ艾! 仇を取ってくれよ!」 民衆の空気は一気に変わった。  トウ艾はひたすら感心していた。 今の魏の君主にはこれほど民を動かす力はない。 蜀もまだまだ大丈夫だな。 その時。 「トウ艾!」 劉ジンが叫ぶ。 「はっ!」 「そなたを後将軍に任命する!  魏を滅ぼせるように粉骨砕身せよ!」 トウ艾は、集会の壇上にあがり、 「私は、新野県出身。 劉備様の民だ!  諸君の命は粗末にしない! どうか私について来てほしい!」 と叫んだ。 「おう!」 民衆も応えた。 トウ艾はこれより蜀の将軍になった。 いよいよ、反撃の狼煙があがろうとしていた。
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