やっぱり不幸

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◆◆◆ 数日後の昼休み。 「・・・ってことがあったのよ。」 口を閉じると、同期の陽菜子(ひなこ)が思いっきり顔をしかめた。 「美夏、可哀想。よりによって藤本君の教育係なんて・・・。」 「ありがとう。」 大きなため息を吐くと、社食の鯖の味噌煮を突っつく。 「藤本君がかなり困った子ってことは知ってたんだけど、あそこまでとはなあ。」 「何があったの?」 「うん・・・色々あったんだけど。例えばね、会社に定時で来ないことについて注意したんだけど、そしたら『フレックス制度があるのに、何故その権利を行使してはいけないんですか?』って言われた。」 「うえ。」 「改めてそういうこと聞かれると、困っちゃうものね。頑張って答えたら、納得していた様だけど。」 「じゃあ、今は来ているの?」 「定時から30分以内には来ているわ・・・。」 「美夏、えらいよ!」 陽菜子が身を乗り出す。 「うちにも新人がいるんだけど、この子も色々問題があって・・・。この間なんて『忘れない様に、やることリストを作る様に。』って注意したら、4時間後にメールが来たの。」 「うんうん。」 「そのメールに添付ファイルが付いていて、やることがびっしりエクセルに書いてあった・・・。」 「4時間かけて、そのリストを作ったってこと・・・?」 「そうみたい。私、何て言ったらいいか分からなくなっちゃった。」 顔を見合わせて、お互い苦笑する。 「ねえ、美夏思わない?やっぱり最近の子って新人類じゃないかって。」 「新人類って。」 「だってさあ、私達の新人の頃って、こんなこと注意されたりしなかったよ?」 「まあ、確かに。」 「もー厄介よう。新人類!」
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