シンガポールの夜

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「知っているかい?男性が女性に服を送る理由。」 「ううん。」 「答えは征服欲。」 「え?え??」 話に付いていけない私の口を、卓さんが柔らかな唇で塞ぐ。 「んっ・・・。」 その間にも卓さんの手が更に滑り落ち、腰に回される。 「美夏はシンガポール初めてだろう?」 「はい。」 「美夏の初めてのシンガポールも、初めてのパーティーも、ドライブも、それを全部奪われたのは気に食わない。」 「そんな良いものじゃ・・・。あっ。」 大きなバスローブの隙間から、卓さんの手が入ってくる。 素肌をそっと撫でられて、ゾクゾクと体が震えた。 「それに、初めてのカジノも、観覧車も。」 与えられる熱に、体の奥底が次第に熱を孕むのを感じる。 涙目になりながら身をよじると、卓さんの舌が涙をすくう。 「だからせめて、シンガポール初めての夜は奪わせてもらうよ。」 目の前には、漆黒の瞳。 「覚悟するんだね。」 再び与えられた深い口づけに、思考が段々と麻痺していく。 大きな背中に手を回すと、応える様にぎゅっと抱きしめられた。
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