あっちは大荒れ

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「美夏は、丸と四角とハートどれが好き?」 「え?」 質問の意図がよく分からない。 何か意味があるのかもしれないと思いながら、丸と四角とハートを思い浮かべる。すると上手く働かない頭の中を、昔観たアニメの映像が過った。やたらキラキラした武器を持っていたあの子は、確か四角のペンダントを着けていた気がする。 「・・・。四角?」 「分かった。」 何が分かったのか理解できないが、卓さんは一つ頷く。 それからにっこりと笑うとソファーを指さす。 「服を用意しておいたから、着替えておいで。」 「う、うん。」 パタンという音と共に、卓さんが扉の向こうへ消える。 途端に、体から一気に力が抜けた。 「卓さんは私を殺す気?」 まだ暴れている心臓を押さえながら、大きく息を吐く。 起床後10分の間で、こんなに気持ちの変化に耐えなければならないなんて。 しばらくベットで一人のたうち回りながら、私は気持ちを立て直す。 「よし!まずはデートのことだけ考えよう!」 がばっと起き上がると、早足でシャワールームに向かう。その途中でふと卓さんの言葉を思い出した。 「そういえば、服って何だろう?」 何気なくソファーに近付く。 するとそこには、少し大人っぽいマキシワンピに、サンダル、レースがふんだんに使われたランジェリー類、その他諸々が所狭しと並んでいた。 唖然としながら、昨日の会話が脳裏を過る。 「男性が女性に服を送るのって、確か・・・。」 私は金縛りにあったかの様に、しばらくの間立ち尽くす羽目になった。
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