あっちは大荒れ

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<<日本時間17時>> 長時間に渡る会議がやっと終わる。 松尾は軽く伸びをすると、やれやれといった気分で席に戻る為に廊下に出た。 既に夕方なのか、窓の外はオレンジ色に染まりつつあった。 「今日はさっさと帰ろうかねえ。」 今夜のテレビ番組に思いを巡らせていると、向こうから藤本がやってくるのが見えた。 「よ。おつか・・・。」 「松尾さん!」 大の男が、ほぼ涙目になって突進してくる。 あまりのことに思わず仰け反る。が、藤本はそんな反応を気にすることなく、俺の手首をがっちり掴むと廊下を走り始めた。 「はあ!?おい!止まれ!!」 「・・・無理です!」 「意味分からんぞ、藤本!!こらあ、人の話を聞けー!!」 喚く俺を引きずりながら藤本はどんどんと進み、存在は知っていたが、入ることはないだろうと思っていた部屋の前に辿り着く。 「おい、お前・・・!?」 「すみません、すみません!!犠牲になって下さいー!」 「うわあ!!」 拒否する暇もなく、俺はその部屋・・・社長室にぽいっと放り込まれてしまった。 バタンと扉が閉まり、目の前には遠目にしか見たことがない社長やら、専務やら数人が難しい顔をして俺を見ていた。 「し、失礼しました。」 心の中で『あとで藤本をボコボコにする。』と誓いながら、背筋を正す。 すると、社長が渋い顔をしながら、重い口を開いた。 「君のところの井上美夏についてだが。」 「はい。」 「高藤氏との結婚式では、我が社もそれ相応の対応をしなければならない。私も披露宴には出席した方が良いだろう?」 「は・・・?」 ぶわっと全身から汗が出てくる。 『何故、社長が二人の関係を知っている?』 話がついていけない俺を他所に、目の前のお偉いさん方の話は勝手に進んでいく。 「社長、マスコミ対策も進めなければいけませんね。」 「そうだな。」 社長は視線を俺に向けると、僅かに微笑む。
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